花蓮の高茶師

誰がなんと言おうと「アメノ」さんを返上した、おやかた@茶参福です。

2009年の冬は花蓮懸の高茶師の下で紅茶と緑茶を作る製茶実習に参加しました。
花蓮の高茶師といえば花蓮のみならず台湾の茶師の中でも、名前は絶対に聞いたことのあるくらい有名な茶師です。
蜜香紅茶、蜜香緑茶を作り上げたのは高茶師なんですよ。日本では高茶師が作ったものでない蜜香紅茶や蜜香緑茶がかなり出回っているようです。みなさんもマガイモノにはくれぐれもご注意くださいませ。

高茶師と我が師匠と嘉名茶園

まずは緑茶作りから開始 蜜香緑茶(茶摘〜萎凋〜殺菁)

その高茶師と一緒にまずは緑茶作りを始めました。

茶摘の様子

その前に。
まずは茶摘でございます。総勢12人で12時までに1時間半で生茶葉が5.4kg。製茶実習の前半組みの方々が出発の間際まで頑張って茶摘をしてくれました。
今回の茶摘はとても活発に動き回るウンカを多数見ることが出来ました。お米にとっては害虫ですが、この蜜香緑茶を作るにはとっても重要な役目をしてくれるウンカがたくさんいるということは、それだけウンカの食害によって美味しくなった新芽がたくさんあるということになるんですよ。ってことは…美味しいお茶を作るにはもってこいの状態にあるってことですよ!
いやはや、茶摘の段階から気合が入りますね(笑)

萎凋〜殺菁

それから22時くらいまで萎凋。
ゆっくりと時間をかけて茶葉の水分を抜いていきます。そして程よく水分が抜けてきて、茶葉の香りが草の青さから少し花のように香る萎凋香に変わってきたら殺菁開始。
殺菁は本来、発酵を止めるたけに行いますが、緑茶の場合は茶葉を温め揉捻の際に茶葉が壊れないようにするために行うんです。

揉捻〜乾燥

殺菁〜揉捻

殺菁によって茶葉があたたまったら次は即揉捻開始です。
まずは大き目の揉捻機にて茶葉を揉みこんでいきます。全体的に揉みこんだら次は小さい揉捻機を使用してさらに茶葉を揉みこんでいきます。揉捻をすることにより茶葉の繊維の中から水分と旨味が溢れ出してきて、それが茶葉全体にじわじわと馴染んでいきます。そうすることにより茶葉が美味しいお茶へと変わってきます。

揉捻 揉捻

何度も揉捻を行いますが、その合間には揉捻によって茶葉が絡まってしまいますので、それを解きほぐします。球になってしまっている茶葉が残っているとうまく水分が抜けず、また旨味も十分に行き渡らなくなってしまうのです。ちょっとした作業ですが先人が積み上げてきた作業を疎かにすることはありません。ましては名人と言われる高茶師ですらその作業はきっちりと行っています。

殺菁の様子w

再度、殺菁。師匠が高茶師の殺菁の技を盗んでとってもにこやかです(笑)
揉捻〜殺菁〜揉捻と繰り返していきます。途中に殺菁をするのは茶葉の温度が下がってしまうため。温度が下がったまま揉捻を行うと茶葉がガサガサとなってしまい旨味が全くでない状態になってしまうんですよね。

乾燥

揉捻が終わったら乾燥に入ります。このまま朝までじっくりじっくり乾燥しさせていきます。

取材を受ける高茶師

実はこの乾燥までの製茶実習の間ずっと高茶師は取材をうけていました。乾燥に入ったのが0時前くらいですから、それまで製茶をしながら要所では作業の解説をしていました。
これほど熱心な取材を結構な数こなしているようです。世間の高茶師に対する関心の高さと評価がうかがい知れますね。

乾燥〜完成

いい天気の花蓮ですw

さて、乾燥に入ったまま朝を迎えました。
朝起きたらこの天気!だから!!わしが「アメノ」ではないと何回m(ry

蜜香緑茶の完成です!

出来上がった茶葉を確認します。
とても綺麗に仕上がっていますね。白く見える茶葉はウンカ芽(ウンカの食害にあった新芽)です。このウンカ芽のおかげでさわやかな緑茶の香りだけでなく、より芳醇な蜜のような甘みのある香りが宿ります。
今回の蜜香緑茶を早速テイスティング。すっきりとさわやかな香りとふわっと蜜の甘さが香ってきます。うまいですよ。って自分の作ったお茶なら当然そう思いますよね(笑)

日本に持って帰り10日ほど過ぎてからが飲み頃を迎えます。それまではじっくりと寝かせておきましょう。

高茶師、奥さんの粘茶師、師匠、実習参加者の皆様、本当にお世話になりました。また一緒に美味しいお茶作りをしましょう。
ありがとうございました。

Posted by oyakata(茶参福)|hiru-an-don Blog茶香好友 - 鴻山茗茶 -△PageTop