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人に好かれる笑いの技術 鶴間政行著

April 18, 2008 Friday [ Books] 


お昼の定番番組となってる「笑っていいとも」、その後の「ごきげんよう」、夜は「SMAP×SMAP」、ラジオでは「コサキンDEワァオ!」など、多くの人気長寿番組を裏から支えている放送作家の鶴間政行さんが書いた本です。

また萩本欽一さん(大将)のラジオ番組の常連ハガキ職人→大将宅で居候しつつ修行の日々を経て放送作家になり、以来30年以上第一線で活躍されているお方でございます。

「ごきげんよう」のサイコロトークの発案者として一部ではかなり有名な人。


そんな鶴間さんがそのキャリアと経験から、「笑い」、「感覚」、「間」、「発想法」、「コミュニケーション」などについて紹介しています。

「はじめに」で鶴間さんが

読み終えて、 「ちょっとタメになったな」 少しでもそう思っていただけるだけで幸いです。

と書いていらっしゃいますが、今やベテラン放送作家なのに謙虚な姿勢を忘れない鶴間さんの人柄が表れていて、わし的にはとっても好きなんですよ。



鶴間さんの言いたい「人に好かれる笑いの技術」とは、

気配りとちょっとした発想転換を活用したコミュニケーションを意識することで、相手も自分もお互いに笑いがある関係を築くことが出来る

ではないかとわしは思いました。

また鶴間さんは本の締めで、

「好かれる」というのは、「人に好かれるために意図的に行動する」ってことではなくて、「自然な行動の結果、好かれる=好かれちゃった」になるのが最高
「自然体」になるためには「基本をちゃんとやる」 その基本とは、「挨拶」「気遣い」「思いやり」を自然に出来るようにすること

だと仰っています。

ものすごくシンプルなことなんだけど、それこそが「笑い」のある「コミュニケーション」が出来るようになるための「技術」なんだということでしょうね。

あふれる情報、多様な表現に対しておおらかになってきた現代だからこそ、また、「笑いの最前線」で頑張り続けている鶴間さんだからこそ、より「基本」の重要を知っているんでしょうね。


第1章では、タモリさん、小堺一機さん、関根勤さん、SMAPの中居くんの司会などを紹介することで、コミュニケーションにとって大事なことを、第2章では、大将(萩本欽一さん)の元での修業時代に学んだ、気遣い、思いやりの表現方法を、第3章では、放送作家としての鶴間さんの発想法を、第4章では、経験を踏まえた上でのちょっとした具体的なコミュニケーションの技術が書かれています。


個人的は、どの章も分かりやすく書かれていて、「ちょっとタメになったな」というよりは、「おおいにタメになりました」と鶴間さんにお礼を言いたいくらいですね(笑)


発想法にしても、気遣い、思いやりにしても、全部をいっぺんに実践してみるのは今のわしには無理なので、一つずつ実践していければと思っております。


わしが何か挙動不審だったら、「この本のどれかを実践しようとしているんだけど、自然体で出来るまでにはなってないんだな」と生暖かい目で見てあげてください。




関連サイト

・萩本企画・放送作家のページ
・鶴間政行さん(Wikipedia)

・「笑っていいとも」
・「ごきげんよう」
・「SMAP×SMAP」
・「コサキンDEワァオ!」

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いろのはがき 田中千絵著

December 12, 2007 Wednesday [ Books] 

先日、一目惚れで購入したのがこの田中千絵さんの「いろのはがき」。


日本古来の季節の草花や万葉集などで歌われる日本の伝統色。各色の由来を日・英で併記した粋なデザインがやさしい日本の色の世界に誘います。
「BOOK」データベースより引用

24色の優しい色にそれぞれの色にあった挿絵が描かれていて、その色と挿絵がとても気持ちをほっこりとさせてくれます。

個人的には、鴇色、支子色(くちなしいろ)、山葵色、勿忘草色、あたりがお気に入り。
日本古来から、これだけ綺麗で多彩で風合いが優しい色が受け継がれてきたことが、嬉しい驚きでした。
また24色の由来、名前が書いてあるのも読んでいて楽しくなりますね。
「桓武天皇」「古今和歌集」「万葉集」なんて単語まで出てくるんですよ、めさめさ楽しいです。
いや、堅苦しい表現などまったく無いのでご安心を(笑)

「いろのはがき」とはいえ葉書として立派に使える。
これを貰った人はちょっと優しい気持ちになれるんじゃないかなって思いますね。「癒し系はがき」って感じかな。

でも実際に葉書として使うならもう一冊買わないと。自分の保存用にね(笑)


今日は、師匠、茶香好友の「文山包種茶 青心烏龍種30g」販売価格 1,050円の1煎目と10煎目以降のブレンドをペットボトルに入れてアイスにして飲んでます。

文山包種茶らしい香りもお茶そのものの味もまだまだいけますね。頭等奨は伊達ではない!

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中国武将列伝 守屋洋著

August 31, 2007 Friday [ Books] 


中国武将列伝 守屋洋著
中国武将列伝 守屋洋著


今回は中国武将列伝です。
先日の中国皇帝列伝―歴史を創った名君・暴君たちと一緒に購入した本です。




この中国武将列伝に書かれている武将の顔ぶれは以下の通りです。
わりとメジャーな人が多いかもしれませんね。

でももって気になった人を抜粋。

項羽

項、字は「羽」、名は「籍」。
漢という国を興した劉邦と「楚漢の戦い」を繰り広げたその相手が楚軍のトップが項羽である。

秦の始皇帝死去後挙兵し、わずか3年で秦を打倒し「西楚の覇王」と号するまでに急成長を遂げた天才的将軍。
こと軍事的才能に関しては中国史の中でもトップクラスだと思う。孫子などの兵法書を熱心に研究したわけではないらしい。それでも戦には滅法強かった。先天的な要素を多分に持っていたと思われる。

そして項羽にまつわる話として有名なのが「四面楚歌」。
この言葉、故事を聞いたことがある人が多いと思う。その「四面楚歌」の状態とはこんな状態であったらしい。

楚漢の戦いの終盤。戦略的優位を確立させた劉邦が項羽を垓下に追い詰め包囲した。
その様子を「史記」から引用してみたい。

項王ノ軍、垓下ニ壁(ヘキ)ス。兵少ナク食尽ク。漢ノ軍及ビ諸侯ノ兵、コレヲ囲ムこと数重(スウチョウ)。夜、漢ノ軍ノ四面楚歌スルヲ聞キ、項羽スナワチ大イニ驚イテ曰く、 「漢皆スデニ楚を得タルカ。コレナンゾ楚人の多キヤ」 項王スナワチ夜起キテ帳中ニ飲ス。

自分と戦ってきた楚人まで今となっては私を包囲する側になってしまったんだなぁ…

「漢楚の戦い」では、序盤圧倒的優位に立っていた項羽も、結局は垓下で包囲され、その突破はしたものの、最後は単騎敵陣に踊りこみ数百合切り結んで最期には自らの首をかき切った…

こんな非業な最期になってしまった項羽には、政治戦略に欠ける、功績を立てた部下にきちんとした報酬を与えない、部下の意見を聞かない、などの敗因が多数あったようですね。特に腹心の軍師、范増、将軍の鍾離昧、などに去られてしまったのは痛恨事だと思う。

やっぱり天下って一人じゃとれないのよねって見本の人かもしれないですわ。



韓信

劉邦軍の大将軍。はじめは項羽に仕えるが重用されず、劉邦に仕える。
漢帝国成立後は、楚王の封じられる。謀反の嫌疑をかけられ推陰侯に格下げ、その五年後謀反の罪で誅殺された。

国士無双、背水の陣、なんて言葉聞いたことがある人が多いんじゃないでしょうか。
実は両方ともこの韓信が関係ある言葉なんですよ。

まず国士無双。
今は麻雀の役のひとつになっていますが、元々は劉邦の部下で丞相を勤めた蕭何(しょうか)が、韓信を劉邦に大将軍に抜擢すべきと強談判に及んだ時にいった言葉。「国中に並ぶ者がいない人物」ということですね。
蕭何としては、韓信の軍事的才能に関してそう評したようですね。

背水の陣。
劉邦に北方攻略を命ぜられ、との戦い用いた戦術。
「山を背にして、川を前にして戦え」というのが兵法の常道だったが、韓信は自らの軍勢を川を背に陣をしき戦い、見事兵力的には劣勢の中、勝利を収めた。

韓信としては「孫子」の九地編の

「コレヲ亡ニ投ジテ然ルニ後ニ存シ、コレヲ死地ニ陥レテ然ル後生ク。」
「己を死地に置いて、初めて生きることが出来る」

を応用したようですね。
これだけ自在に兵法を応用できるのは、やはり「孫子」をかなり研究していたようですね。

国士無双、背水の陣など、軍事的才能がありながらも最期には誅殺されてしまう…
こと政略に関しては軍略ほどの冴えはみられなっかたようですね。

他にも「股くぐり」、「狡兎死して良狗煮られる」、など色々と話にはことかかない韓信。

戦には滅法強くても、こと政治駆け引きには弱い。そんな韓信がわしは結構好きである。




関羽

三国志演義での桃園の誓いも知っている人は多いんじゃないかな。劉備玄徳張飛翼徳と義兄弟の契りを結んだ、というアレですね。
史書の三国志では、義兄弟とまでは書かれていないが、「恩、兄弟ノゴトシ」という記述がある。それくらい劉備に対し忠誠を尽くした武将。

後世、関羽の忠義の尽くしっぷりを臣下に見習わせようと、唐時代辺りから神格化がされ始めて、宋時代には武廟の主神に昇格するとともに「公」の爵位を与えられついでに王の位まで贈られている。そして清時代には、王から帝になり、「忠義神武霊祐仁勇威顕?国保民精誠綏靖翊賛宣徳」関聖大帝、と長ったらしくもありがたい重々しい号が贈られた。こうしていわゆる「関帝廟」として、村落ごとに作られ民間信仰の対称になっていったようです。

まぁ関羽に関してはこの中の武将では有名なほうだと思うのでこれ以上はいいかな。
むしろ関羽をとりあげたのは、「忠義神武霊祐仁勇威顕?国保民精誠綏靖翊賛宣徳」関聖大帝、っていうのを書きたかっただけなんだけどね(笑)



他にも、馬援(字は文淵)、李靖(字は薬師)などは興味のそそる武将ですね。

馬援は、三国志演技にもこっそりと登場しているんです。
諸葛孔明が南征に赴いた際、兵士が毒にやられてしまい窮地に陥った時に、古ぼけた廟の中に漢の伏波将軍馬援の像を見つけそれに額ずいて祈願をすると、「伏波将軍の使いで参りました」と一人の老人があらわれて解毒法を伝授して、危機を脱し南蛮平定した…

馬援は孔明よりも早い時代に、後漢時代に南征しているんですよね。まぁ孔明とはかなり場所は違うんですが、少数精鋭で南征し首尾よく平定している。将軍としてこれまた類稀なる才能をもった人物でした。

李靖は唐王朝成立の立役者の一人。
外にでては将軍として「常勝」とうたわれ、内に入っては宰相として国政支えたまさに文武両道の人物。
戦は積極果断、政治は人柄を反映してか温厚。
人物としてはこの武将列伝の中で最強と思っています。才能、人柄とのバランスはまさに超一流。

そしてはずせないのが「李衛公問対」。これは「武経七書」という「孫子」「呉子」ともならぶ兵法書のひとつとされているものです。

唐の二代目太宗(李世民)と李靖の兵法問答書です。李靖はいうに及ばず、実は唐の太宗も用兵に関しては天才的なものを持っている名君。ようは唐時代初期の用兵のエース二人が用兵、政治について薀蓄を傾けている名著。一度はじっくり読んでみたい書ですね。



まだまだ魅力的な人物が多いこの本。
なんだかんだ書いておりますが、中国の武将についてかじる入門書としてはいいと思いますよ。

才能だけでなく、人物の人柄などもいろいろな逸話を交えて書いてあるので面白いと思いますです、はい。

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中国皇帝列伝―歴史を創った名君・暴君たち 守屋洋著

August 18, 2007 Saturday [ Books] 

このカテゴリに書くの久しぶりだな(笑)

本自体を読んでないわけではないんだけど…書くのが億劫?(笑)

そんなわけで今回は、中国皇帝列伝 守屋洋著


さてこの本、元々は2冊なんです。中国皇帝列伝 (創業篇) 中国皇帝列伝 (守成篇)。それを抜粋して再編集したのがこの中国皇帝列伝なんですよね。うん、確かそのはず(笑)


中国の歴史の中で名君、暴君、など、際立った存在の皇帝12人について書かれております。



ちなみのその12人とは、


以上、そうそうたる面々。

戦乱の中から新しく国を興した創業の名君、国を反映させ守り抜いた守成の名君、皇帝という最強の特権を悪い意味で利用して国の屋台骨をおかしくしてしまった暴君、それぞれの皇帝についての人物像を浮き彫りにして、守屋さん流の帝王学に繋げる解説をしております。

帝王学っていうとナニがアレで小難しいと偉ぶってるとかそう思うかもしれませんが、そんなにかしこまったものではなく、それぞれの皇帝の人間くささをを感じることが出来て、歴史の教書などよりは興味をそそる内容になっていると思う。

例えば、漢の高祖、劉邦。
若いころ秦の始皇帝の行列を見た時に、劉邦は、

「男と生まれてきたなら、こうでなくてはなあ」

といいながら大きなため息をついたらしい。これって意外と普通に抱く一般的な感慨だと思うんだよね。
また皇帝になってからのこと。文武両道を求められるのは皇帝だとて同じ。その勉強のために部下の陸賈(りくか)から基本的教養の書である「詩経」「書経」の講義を受けてる時に、

「わしは馬上で天下を取ったのだ、詩、書などは関係ないわい」
と文句をいい、陸賈から
「馬上で天下は取れても、馬上で天下を治めることは出来ません。文武の併用こそ天下を長く治める秘訣です」
とたしなめられてぎゃふんとしたらしい。一番偉くなったのにさらに自分の嫌いな勉強までしなきゃいけない上に、文句を言ったらさらに部下からたしなめられてしまう…想像すると笑える姿だと思いませんか?

また以前書いた宋の太祖 趙匡胤も好き(笑)。その時に後漢の劉秀の人間くさい逸話って書きましたが、それは以下の話。

劉秀が皇帝になってからのこと。
馬援(後に劉秀に仕える名将)が当時仕えていた主の命を受けて劉秀の様子を探りにきた時、劉秀は食べているものを吐き出して、急いで共も連れず、頭巾もつけず笑いながら声をかけた。

劉秀
 「貴公のことは聞き及んでいるぞ、なるほどそれだけの器量はある」
馬援
 「先日幼馴染のの人物を尋ねましたが、仰々しい応対ぶりでした。ところが陛下は、刺客とも腹黒い人間とも知れぬ初対面のこのわたくしにかくも気軽にお会いくださいました。なぜでしょうか」
劉秀
 「まさか貴公は刺客ではあるまい。まあ説客くらいであろうか」
といってまた笑ったそうです。

かざらない気さくさ、信を相手の腹中において、もったいぶらない態度なんかにそそられますね。

皇帝って言えば偉そうにふんぞり返ってる人とか、天才しかなれないとか、いや、やっぱり天賦の才は必要だけど、それだけじゃ天下を統一することは出来ないんですよ。配下に優秀な人材を得るためには、自らも精進しなければならないし努力も必要なんですよ。

明の時代末期の思想家、黄宗義が書した名著「明夷待訪録」のなかで

「名君とは自己犠牲以外のなにものでもなく、したがってこれくらい割の悪い職業ではない」

と書いている。


皇帝って大変なんですよ、庶民が思ったより(笑)
その苦労?人物像を少しでもわかるようになると、帝王学とまではいかなくても生きていくうえで何がしかの役に立つと思われますよ。


ちなみにこの本の元となった本をAmazonで見つけたのでよかったらどんぞ。






中国皇帝列伝 (創業篇)


中国皇帝列伝 (守成篇)

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傭兵部隊

July 27, 2005 Wednesday [ Books] 

傭兵部隊

先日実家に帰った際に久しぶりに手に取った一冊。

初めて読んだのは中学生の時。
その時は傭兵のフランク・キャンパーが経営する傭兵訓練所のカリキュラムに参加した筆者のリアルな描写、写真、そして「傭兵」という言葉にすごい格好いいとしか思ってなかったが、改めて読んでみると随分と印象が違うものである。

子供の治療費を稼ぐために命をかけるもの、
過去への呪縛から戦場に死に場所を求めているもの、
ラスベガスのカジノを辞め最高のスリルを求めて戦場にでた元ギャンブラー、
ベトナム戦争の体験により戦場にしか生甲斐を求められたかったもの、

それぞれの男達が地獄を背負いながら生きている。
しかしその生き方は、自らが決断したもの。そこには迷い、後悔、未練なんてものは存在しない。また既に一流の腕でありながら、さらに技術、精神的にも日々研鑽に励んでいる姿は、男として、一人のプロの職業人として尊敬に値する。

翻って自分の生き方はどうなのか?

自らの決断に迷い、後悔し、未練を垂れ流していないか?
日々、研鑽しているか?

考えただけでも冷や汗ものである。
自らの心の引き締めの為にこれからも再読を続けていきたい一冊である。

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覚悟 戦場ジャーナリストの夫と生きた日々

November 12, 2004 Friday [ Books] 

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イラクで「戦死」したジャーナリスト橋田信介さんの奥様の橋田幸子さんの著作。

まだ手にしたわけではないので詳しい内容はわからないが、ぜひ目を通したいと思っている一冊。
イラクからの訃報が流れるまでは、正直な話、橋田信介さんのことはほとんど知りませんでした。どこぞのテキストサイトで一回くらいお名前を拝見したくらいでしょうかね。
その橋田信介さんの訃報を受けた後の橋田幸子さんのマスコミ、その他への対応にほとほと感心しました。
泣き喚くでもなく、落ち着いていて、その場で自分のしなければならないこと、伝えなければいけないことをしっかり伝えようとしている姿は凛としていて、とても美しいと思った。
橋田幸子さんは文字通り「覚悟」が出来ていたからこそ、深い悲しみをこころの奥にとどめながらも立派な対応を出来たのだと思う。

自分の成すべき事をわかっている、知っている人の姿は美しいと思う。
見習いたいものです。

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鬼平犯科帳 味の世界

November 05, 2004 Friday [ Books, Diary] 

鬼平犯科帳には、長谷川平蔵たちの活躍だけでなく江戸の文化も描かれていると先日書きましたが、その中でも料理の描き方は特に秀逸です。
池波正太郎自らが、剣客商売庖丁ごよみという本をだし、自らの作中で描いた料理を作っているくらいの食道楽故の料理、味に対する表現の秀逸さがあるのだと思います。

そんな旨そうな料理が登場している中でも、これからの季節にぴったりなのが「鍋」ですね。
そしてその鍋、鬼平犯科帳でよく出てくるのが「軍鶏鍋屋 五鉄」の軍鶏鍋。これを長谷川平蔵たち作中の人物が、これまた旨そうに食べるんですよ。そりゃもう小憎らしいくらいに。そんな表現が出来る氏も相当好きなんだろうな、と想像に難くないですね。

そしてそんな五鉄のモデルになったお店があるようなんですよ。それが、

かど家さん
1862(文久2)年から創業開始だそうですよ。

嗚呼…めさめさ食ひたひ…

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鬼平犯科帳

November 02, 2004 Tuesday [ Books] 

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一度読破したものの、また読み始めました。
家でPC周りを少し整理いたら、信長の野望 烈風伝を見つけてしまい少しだけ楽しんでしまったことが、時代物への熱を復古させ、一番好きな鬼平犯科帳を手にとらせたんだと思います。

池波正太郎さんの作品は数あれど、一番好きなのは鬼平犯科帳。氏の描く鬼と人情味滋味深いところを併せ持った鬼平こと長谷川平蔵に惚れてるわけです。
もっともTVでもシリーズ化されていて、中村吉右衛門さんが長谷川平蔵役を演じているわけですが、その姿にも惚れています。

作中で部下の同心、密偵に対しての要所々の何気ない一言の台詞で長谷川平蔵の人間としての粋で飾らない深みある優しさを表し、剣を持って戦うときには、細かい所作、心の動きの描写、盗賊宿への打ち込みの躍動感のある表現がたまりませんね。

氏の描く江戸の街の風景、人の表情、風俗、食文化が、長谷川平蔵を含め、火付盗賊改方同心、盗賊たちをよりリアルに感じられるような演出をしています。
特に食べ物に関する表現は、簡素な表現をしながらも食欲をそそることうけあいです。

五鉄の軍鶏鍋が食いたいなぁ…

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荘子、木鶏、徳

July 06, 2004 Tuesday [ Books, Words] 

昨日から思い出していたのですが、そろそろ書いておかないと忘れそうなのでメモっときます。

紀省子という闘鶏飼いの名人が、王から一羽の闘鶏の訓練を仰せつかった。
十日も経ったころ、王が様子をたずねた。
「どうだ、もうそろそろ使えるのではないかな」すると紀省子はこう答えた。
「いやまだでございます。今はやみくもに殺気だって、しきりに敵を求めております」
それから十日経って王がたずねると、
「いや、まだでございます。他の鶏の鳴き声を聞いたり、気配を感じたりすると、たちまち闘志をみなぎらせます」
また十日経って王がたずねると、
「いや、まだでございます。他の鶏の姿をみると、にらみつけ、いきりたちます」
さらに十日たって王がたずねると、こんどはこう答えた。
「もうよろしゅうございましょう。そばで他の鶏がいくら鳴いても挑んでも、いっこう動ずる気配もなく、まるで木鶏のようにみえます。これこそ徳が充実した証拠です。 こうなればしめたもの、どんな鶏でもかないっこありません。姿を見ただけで逃げ出してしまうでしょう。 」

この場合、鶏にしろ師(この場合は紀省子)という名人がいたからこそ、「木鶏」と思わせるような徳を積むことができた。
わしら人間は、日々生きていく中で紀省子のように徳の積み方を教授してくれる人はいない。
まして人から教授されて、日々の生きていく中で意識して積んでいくものではない。
意識せずおこなうことが出来るようになって、はじめて真の徳を積んだ人に成れるのではないか。

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